岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

岡山の家庭医のブログです。総合診療や家庭医療、哲学、ビジネス、いろいろ。

読書記録

2023/08/21 午後休み 時間をつかう

2023/08/21 今日は仕事。午後は休みをとっているので、午前の予約なし外来だけ。月曜日は毎週のように忙しい。時間におわれながら外来対応する。診察の手は抜きたくないので、できるだけポイントをおさえながら。なかなかに後ろにずれこんだ。 ようやく外来…

【読書記録】今一度、日記の魅力に迫る。『さみしい夜にはペンを持て』

読書記録。 『さみしい夜にはペンを持て』 さみしい夜にはペンを持て (一般書) 作者:古賀 史健 ポプラ社 Amazon 日記を書くことは、未来の自分という読者に向けて、自分の経験や考え・思いを言葉にして記すこと。「書くこと」が苦手なのではなく、考えや思い…

感情のグラデーション化には語彙力が必要である(読書メモ「ルポ 誰が国語力を殺すのか」)

読書メモ✍ 石井光太「ルポ 誰が国語力を殺すのか」 p22より引用 ・文科省の定義によれば、国語力とは「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の四つの中核からなる能力としている。・まず、習得しなければならないのが、あらゆることの基盤となる…

ちゃんと知る、生物心理社会モデル(BPSモデル:Bio-Psycho-Social model)

生物心理社会モデル(Bio-Psycho-Social model:BPSモデル)について、「バイオサイコソーシャルアプローチ―生物・心理・社会的医療とは何か? 」という書籍を通じて改めて勉強したので、ここにまとめておきます。 バイオサイコソーシャルアプローチ 作者:渡…

【読書記録】自分の興味を限定して自惚れていないか。(荒木飛呂彦「荒木飛呂彦の漫画術」)

読書記録。 今回は、「ジョジョの奇妙な冒険」の著者である荒木飛呂彦先生ご自身が書かれた、「荒木飛呂彦の漫画術」です。 荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】 (集英社新書) 作者:荒木飛呂彦 集英社 Amazon ぼく自身が漫画を描いているわけでもなく…

【読書記録】知識は「ある」のであって「持つ」ことはできない(岸見一郎「ゆっくり学ぶ」)

読書記録です。 今回は、「嫌われる勇気」といったアドラー心理学の書籍を世に多く送り出している、岸見一郎先生の「ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方」です。 ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方 作者:岸見 一郎 集英社クリエイティブ Amazon 何かの…

【読書記録】本の感想を書いていたと思ったら、なんか「暇ができることへの後ろめたさ」の考察がはじまった(「書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜」)

本の感想 暇ができることへの後ろめたさ 本の感想 ここ最近、公私ともに多忙な日々が続いていて、文章を書くことから遠ざかっていました。どうしても時間がかかるし、億劫になる。 「『書く』やる気を起こさせてくれるような本がないかな」と探していたとこ…

【読書記録】「医療者が語る答えなき世界 -「いのちの守り人」の人類学」

医療人類学者・磯野真穂さんの著書。インタビューを通して、医療者の苦悩や葛藤が描かれていて、人類学的視点から考察されている。 特に気になったのは、医学と医療の違い、そして「患者中心の医療」のこと。 ・・・ p163 「医療者の仕事の根幹は、モノとし…

2022年1月に岡山の家庭医が手にした本とオススメ本

2022年になってもう1ヶ月がおわりましたね。風のように過ぎ去っていきました・・・。明日から2月ですが、頑張っていきましょう! 今回は、2022年1月の1ヶ月間に手にした本や読み終わった本をまとめています。 書籍一覧 ■「他者と生きる リスク・病い・死をめ…

【読書記録】「他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学」

「他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学」 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学 (集英社新書) 作者:磯野 真穂 集英社 Amazon 時間の合間をぬって、一気読みしてしまいました。それくらい面白かったです。 この本は、全体を通して「手ざわり…

【読書記録】格差はなくなるのか?格差はゼロにしたほうがいいのか?(「格差という虚構」)

読書記録。 今回は小坂井敏晶さんの「格差という虚構」です。 格差という虚構 (ちくま新書) 作者:小坂井敏晶 筑摩書房 Amazon タイトルだけみると、「格差なんて本当は存在しないんだよ」と言いたいのではないかと誤解されてしまいそうですがそうではなく、…

【読書記録】治療 2021年11月号「病院にとっての在宅医療 やってみる、繋がってみる」

読書記録。 治療 2021年11月号「病院にとっての在宅医療 やってみる、繋がってみる」 治療 2021年11月号 特集 「病院にとっての在宅医療 ~やってみる,繋がってみる~」 南山堂 Amazon 編集幹事をされている 長野広之先生より、ご恵贈いただきました! タイト…

岡山の家庭医が2021年8月に購入して読んだ本の一覧

2021年8月に購入して読んだ書籍の一覧です。 引っ越し前ということもあり、書籍の整理も兼ねて、購入数は抑えめです。 今月の一番の収穫は、「コンヴィヴィアリティ」という概念に出会えたことですね。 ご参考になれば幸いです。 【一般書】 ●河合隼雄スペシ…

「ゆっくり読む」って意外と難しい・・・

「読む脚力」が衰えている。 とある勉強会で、批判的吟味や論理的思考に関する話題があがり、そこでオススメされていた一冊を購入しました。 野矢茂樹先生の「新版 論理トレーニング」です。 新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ) 作者:野矢 茂樹 産…

岡山の家庭医が2021年6月・7月に購入して読んだ本の一覧

気を抜いていたら、いつのまにか6月と7月が終わってしまいました。 2ヶ月間の間に購入して読んだ本の記録です。 オススメの本もいくつかありますので、よければご参考ください! 【一般書】 ●あそびの生まれる場所—「お客様時代」の公共マネジメント → 読了(…

誤配のこととか、連載することになったこととか。

ここ数日、書くことに関する書籍をいくつか読んでました。 「ライティングの哲学」では、書くことの苦しさとともに、気軽に書くことの重要性も語られておりました。あと昨日読み終わった「すべてはノートからはじまる」は、書くこと、特に記録をとることの効…

自考するために重要な「無能フィルター」(「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 」)

最近発売されたこちらの本。 4人の執筆者が、「書くこと」の悩みを解像度高く共有している一冊。シンプルにおもしろい。(表紙の絵が、あらゐけいいちさんであるのもまた良い。) この本を読むと、書くことについて少し気が楽になった。 ライティングの哲学 書…

医療の文脈でみた実存主義と構造主義(「14歳からの哲学入門」)

14歳からの哲学入門 14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト 作者:飲茶 二見書房 Amazon 「史上最強の哲学入門」の飲茶さんの著書。 合理主義→実存主義→構造主義→ポスト構造主義、そしてこれからの哲学について、わかり易くまとまってます。 実存…

自分の想像力の限界を突きつけられる (「正欲」)

朝井リョウさんの「正欲」、読了。後ろ頭を丸太で殴られたような衝撃。 正欲 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon なんかこう、今まで自分がどれだけ偏った視点で世界を眺めていたんだろうかと。「多様性」って言葉を、軽々しく使っていた自分が少し恥ずかしくな…

「ただ、いる、だけ」がいかに幸せなことか (「居るのはつらいよ」)

読書記録。 居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく) 作者:東畑 開人 医学書院 Amazon 「居るのはつらいよ」は、臨床心理士である東畑さんが、沖縄のデイケアでの体験をもとに、「ただ、いる、だけ」の大切さを、ケアとセラ…

程よい抽象度で趣味的な夢が一番幸せなんじゃないか

「夢の叶え方を知っていますか?」は、 「すべてがFになる」などの小説で有名な森博嗣さんの著書で、お気に入り本の一つです。 夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書) 作者:森博嗣 発売日: 2017/01/13 メディア: Kindle版 職業的な夢と趣味的な夢 森さん…

「分人」を知っておくことで、ひとに優しくなれる

今回とりあげる書籍は、 平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 発売日: 2012/12/17 メディア: Kindle版 平野啓一郎さんは、『マチネの終わり』になどで有名な小説…

岡山の家庭医が2021年2月に購入して読んだ本の一覧

2021年2月中に購入した本の一覧です。 今月もまぁまぁな数の本を買っていました。 積読はどんどんと増えていく一方ですが、これはこれで良いのです。「積読こそ完全な読書術」なのです。 yktyy.hatenablog.com そして先日、ようやく國分功一郎先生の「中動態…

岡山の家庭医が2021年1月に購入して読んだ本の一覧

2021年より、1ヶ月のうちに購入した本の一覧を記録することといたしました。 「あの本、いつ買ったんだったっけ」と思い出せたり、「今月はちょっと本を買いすぎてないか」など、後から振り返ることもできそうで。積読もいくつかありますが、併読しながら少…

ジェネラリストであれ。(読書記録:「RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる」)

読書記録。 本屋の一角に平積みされており、 「人生で成功するのは「スペシャリスト」よりも「ゼネラリスト」だ!」 という帯をみて思わず購入。 さっと通読できたので忘れないうちにアウトプットしておく。 RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる…

真に豊かで生きるに値する社会とは?(「ビジネスの未来」)

読書記録。 今回は山口周さんの「ビジネスの未来」です。 無限の上昇志向・成長志向にとらわれてしまっている現代の資本主義をハックし、アップデートしていくための思考や行動様式、その先の文化的豊かさを目指した社会を実現していくための具体的提言が書…

本を積め。

読書記録。 今回は永田希さんの「積読こそが完全な読書術である」です。 現代の情報の濁流(=他律的積読)に飲まれないようにするために、 その拠り所となるような環境をつくる。 自分自身の方向性をもって、そのテーマに沿った気になる本を積む。 これこそが…

「『教養』とは何か」

読書記録。 今回は阿部謹也さんの「『教養』とは何か」です。 前回こちらの記事を投稿した後、フェイスブックのコメントで教えてもらいました。 巷では空前の「教養」ブームでありますが、改めて教養とはなにか、教養があるとはなにか、考えさせられる本でし…

教養ってなに?なぜわたしたちは学ぶのか?(「教養の書」)

「教養の書」 教養の書 (単行本) 作者:戸田山 和久 発売日: 2020/02/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本屋でカバーを見かけて、内容も確認せずに買った本。 装丁がかっこよかったのと、タイトルに惹かれてジャケ買い。 大学教授である著者がこれから大…

役割を演じる私たち

学びのメモ。 先日、著明な先生方の鼎談系配信にふと参加したところ、思わず様々な学びがあった。 医師と患者が演じている「役割」についてである。 「役割」ときいて、そういえばと思い出した文章があった。 25セント硬化のように、あなたは常に役割を演じ…