岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

岡山の家庭医のブログです。家庭医療、哲学、ビジネス、いろいろ。

自考するために重要な「無能フィルター」(「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 」)

最近発売されたこちらの本。 4人の執筆者が、「書くこと」の悩みを解像度高く共有している一冊。シンプルにおもしろい。(表紙の絵が、あらゐけいいちさんであるのもまた良い。) この本を読むと、書くことについて少し気が楽になった。 ライティングの哲学 書…

「困難事例」における困難とは果たして、誰にとっての困難なのだろうか?(「『困難事例』を解きほぐす」)

2021年6月27日、「『困難事例』を解きほぐす」の読書会に参加しました。 「困難事例」を解きほぐす――多職種・多機関の連携に向けた全方位型アセスメント 作者:伊藤健次,土屋幸己,竹端寛 現代書館 Amazon 著者の御三方が参加され、本の内容をベースにディスカ…

医療の文脈でみた実存主義と構造主義(「14歳からの哲学入門」)

14歳からの哲学入門 14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト 作者:飲茶 二見書房 Amazon 「史上最強の哲学入門」の飲茶さんの著書。 合理主義→実存主義→構造主義→ポスト構造主義、そしてこれからの哲学について、わかり易くまとまってます。 実存…

自分の想像力の限界を突きつけられる (「正欲」)

朝井リョウさんの「正欲」、読了。後ろ頭を丸太で殴られたような衝撃。 正欲 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon なんかこう、今まで自分がどれだけ偏った視点で世界を眺めていたんだろうかと。「多様性」って言葉を、軽々しく使っていた自分が少し恥ずかしくな…

【講演記録】平野啓一郎さんのオンライン講演に参加してきました【分人主義】

【平野啓一郎さんのオンライン講演に参加しました】「第21回日本死の臨床研究会中国・四国支部大会/第26回鳥取緩和ケア研究会 in鳥取」の午後の部、平野啓一郎さんのオンライン講演に参加してきました。 平野さんは「マチネの終わりに」などの小説でご高名…

「ただ、いる、だけ」がいかに幸せなことか (「居るのはつらいよ」)

読書記録。 居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく) 作者:東畑 開人 医学書院 Amazon 「居るのはつらいよ」は、臨床心理士である東畑さんが、沖縄のデイケアでの体験をもとに、「ただ、いる、だけ」の大切さを、ケアとセラ…

家庭医療学 はじめの一歩 〜BPSモデルと患者中心の医療の方法について〜

「家庭医療学ってなに?」 そんな方にむけて、家庭医療学についてスライドにまとめてみました。 家庭医療の実践で基本となる、 生物-心理-社会モデル(Bio-Psycho-Socialモデル:BPSモデル)、 患者中心の医療の方法(Patient Centered Clinical Method:PCCM) …

総合診療専門医の数だけを増やしても無意味 (内科専門医と総合診療専門医のダブルボードの件について) ※2021/05/17追記

内科専門医と総合診療専門医のダブルボードの件について。 ドクターズマガジン5月号の記事によると、専門医機構は、内科専門医が総合診療専門医を取得する要件は、小児科や救急研修の追加履修で可能とする方針にするとのこと。 しかし本来、総合診療には具体…

岡山の家庭医が2021年3月・4月・5月に購入して読んだ本

いつのまにか2021年も3分の1が過ぎ去っていました。 この間に購入していた書籍の一覧を残しておきます。 ぼくが読了した本で、皆様にもぜひ読んでもらいたいオススメのものは「オススメ」って書いています。ご参考ください。 医学書 ◯厄介で関わりたくない精…

程よい抽象度で趣味的な夢が一番幸せなんじゃないか

「夢の叶え方を知っていますか?」は、 「すべてがFになる」などの小説で有名な森博嗣さんの著書で、お気に入り本の一つです。 夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書) 作者:森博嗣 発売日: 2017/01/13 メディア: Kindle版 職業的な夢と趣味的な夢 森さん…

医学生のための適々斎塾「合水塾」 第2回を企画しました

最近ブログ執筆がご無沙汰しておりましたので、活動報告。 医学生のための適々斎塾 合水塾 第2回 臨床推論 盛況のうちに終了いたしました!たくさんの医学生・初期研修医の先生方に参加していただき、嬉しい限りです 医学生に、臨床に即した質の高い学びを届…

「分人」を知っておくことで、ひとに優しくなれる

今回とりあげる書籍は、 平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 発売日: 2012/12/17 メディア: Kindle版 平野啓一郎さんは、『マチネの終わり』になどで有名な小説…

岡山の家庭医が2021年2月に購入した本の一覧

2021年2月中に購入した本の一覧です。 今月もまぁまぁな数の本を買っていました。 積読はどんどんと増えていく一方ですが、これはこれで良いのです。「積読こそ完全な読書術」なのです。 yktyy.hatenablog.com そして先日、ようやく國分功一郎先生の「中動態…

私が数百人規模の企画運営に携わったことで得たもの(冬セミスタッフとしての振り返り)

ついに今年度の「若手医師のための家庭医療学冬期セミナー(通称”冬セミ”)」が終了した。私は昨年度に引き続き、全体講演の冬期セミナースタッフ(冬セミスタッフ)として参加した。 https://confit.atlas.jp/guide/event/jpcawinter16/top 無事に終了したこと…

岡山の家庭医が2021年1月に購入した本の一覧

2021年より、1ヶ月のうちに購入した本の一覧を記録することといたしました。 「あの本、いつ買ったんだったっけ」と思い出せたり、「今月はちょっと本を買いすぎてないか」など、後から振り返ることもできそうで。積読もいくつかありますが、併読しながら少…

ジェネラリストであれ。(読書記録:「RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる」)

読書記録。 本屋の一角に平積みされており、 「人生で成功するのは「スペシャリスト」よりも「ゼネラリスト」だ!」 という帯をみて思わず購入。 さっと通読できたので忘れないうちにアウトプットしておく。 RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる…

コロナ禍での顔面神経麻痺

救急外来で経験した症例。 【症例】 30代男性。 1日前からの発熱と、ペットボトルで飲み物を飲むと左の口からこぼれるとのことで受診。鼻汁、咳嗽あり。 5日前に多人数での会食あり。 鑑別は・・・? 【診断】COVID-19による末梢性顔面神経麻痺 ・翌日のPCR…

2020年を振り返る。

2020年も今日でおわり。 今年はこのブログを始めたことがプライベートで大きな出来事でもあります。 深瀬先生のブログ記事で使われているYWT法で私も振り返ってみようと思います。 yamagatageneral.hateblo.jp Y:やったこと 臨床■2019年4月〜2020年3月:岡…

本当の目的を再確認する (コンフリクト・マネジメントの基本から)

関係各所でいろいろな対立や紛争が勃発している(なにか特定のものを指しているわけではありません)ので、私の知っているコンフリクト・マネジメントに関して。 対立が生まれると、お互いの意見と意見がぶつかりあい、議論が平行線になることは少なくありませ…

いい年になってもポケモンの映画を観に行ってしまう

雑記。このブログ、最近は全然医学のことを書いてません。 今回はポケモン映画について書き連ねます。 大人こそ、ポケモン映画を見に行くべき ここ4年間、ポケモンの映画は毎年観に行っています。 というのも、4年前からポケモンの映画はテイストが若干変わ…

真に豊かで生きるに値する社会とは?(「ビジネスの未来」)

読書記録。 今回は山口周さんの「ビジネスの未来」です。 無限の上昇志向・成長志向にとらわれてしまっている現代の資本主義をハックし、アップデートしていくための思考や行動様式、その先の文化的豊かさを目指した社会を実現していくための具体的提言が書…

専門医機構から突然「5万円払え」とメールがきた件について

現在総合診療界隈で話題になっている「5万円問題」に関して、当事者の総合診療専攻医である私の感じたこと・意見を述べます。 昨日(2020年12月17日)、突然専門医機構から下記のようなメールが届きました。 たしか、専門医機構・総合診療専門医検討委員会の大…

逃げるは恥だが役に立つ

学びのメモ。 今日はVoicyで最近ききはじめた「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」の番外編から。 【番外編 #36】メンタルケア、どうしてる?(前編)【COTEN RADIO】 voicy.jp メンタルヘルスをテーマに話がはじまり、社会の価値観・倫理観の生…

本を積め。

読書記録。 今回は永田希さんの「積読こそが完全な読書術である」です。 現代の情報の濁流(=他律的積読)に飲まれないようにするために、 その拠り所となるような環境をつくる。 自分自身の方向性をもって、そのテーマに沿った気になる本を積む。 これこそが…

「『教養』とは何か」

読書記録。 今回は阿部謹也さんの「『教養』とは何か」です。 前回こちらの記事を投稿した後、フェイスブックのコメントで教えてもらいました。 巷では空前の「教養」ブームでありますが、改めて教養とはなにか、教養があるとはなにか、考えさせられる本でし…

教養ってなに?なぜわたしたちは学ぶのか?(「教養の書」)

「教養の書」 教養の書 (単行本) 作者:戸田山 和久 発売日: 2020/02/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本屋でカバーを見かけて、内容も確認せずに買った本。 装丁がかっこよかったのと、タイトルに惹かれてジャケ買い。 大学教授である著者がこれから大…

効率的な勉強って?

雑記。 風のように過ぎ去っていった10月。気がつくと11月になっていました。 夏休み(というか冬)をいただいており、浮世離れした生活を送っています。皆さんおげんきですか?私は元気です。 今週は時間的余裕があることもあって、たくさんいろいろな本を読ま…

総合診療について、改めて考えてみた(学生さんからのインタビューを通して)

総合診療について、改めて考えてみた ある学生さん(なんと中学生の方!)から、インタビューの申し込みがありました。 医師を志していらっしゃるとのことで、卒業論文の情報収集のなかで、私の書いた日経メディカルの記事を読んでくださったとのこと。 medi…

役割を演じる私たち

学びのメモ。 先日、著明な先生方の鼎談系配信にふと参加したところ、思わず様々な学びがあった。 医師と患者が演じている「役割」についてである。 「役割」ときいて、そういえばと思い出した文章があった。 25セント硬化のように、あなたは常に役割を演じ…

カルテ記載における引き算(『書くことについて』)

余白を作る 最近はラジオ的に「荒木博行のbook cafe」を通勤中に聞いています。 先日聞いた放送の中で、スティーブン・キングの「書くことについて」という本が紹介されていました。 書くことについて (小学館文庫) 作者:スティーヴン キング 発売日: 2013/0…