岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

岡山の家庭医のブログです。総合診療や家庭医療、哲学、ビジネス、いろいろ。

考えたこと

2023/08/25 診療にかけられる時間について

診療にかけられる時間について。 外来や訪問診療をふくめて、医療は時間制限がつきものである。無限に時間があるわけではない。限られた時間内で診療を行わなければならない。これはどの仕事でも同じ。別に医療に限った話ではない。ただ、緊急性があればより…

アニメ「ポケモン」最終回でサトシが教えてくれたこと

アニメ「ポケットモンスター」が、2023年3月24日、ついに最終回を迎えた。正確には、4月から新シリーズが開始するためポケットモンスターのアニメは続く。ただ、26年間ずっと主人公であったサトシとその相棒であるピカチュウの物語が幕を閉じることになった…

新年なのでポジティブもネガティブも含めて、今考えていることを率直に書く。

年が明け、2023年になりました。2022年を振り返ってみると、本当に目の前のことに精一杯だった1年でした。。。 2022年の簡単な振り返りと、年末年始の時間でできた内省を踏まえて、ポジティブもネガティブも混ぜ合わせた、今の率直な気持ちや思考をまとめて…

【読書記録】自分の興味を限定して自惚れていないか。(荒木飛呂彦「荒木飛呂彦の漫画術」)

読書記録。 今回は、「ジョジョの奇妙な冒険」の著者である荒木飛呂彦先生ご自身が書かれた、「荒木飛呂彦の漫画術」です。 荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】 (集英社新書) 作者:荒木飛呂彦 集英社 Amazon ぼく自身が漫画を描いているわけでもなく…

【読書記録】知識は「ある」のであって「持つ」ことはできない(岸見一郎「ゆっくり学ぶ」)

読書記録です。 今回は、「嫌われる勇気」といったアドラー心理学の書籍を世に多く送り出している、岸見一郎先生の「ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方」です。 ゆっくり学ぶ 人生が変わる知の作り方 作者:岸見 一郎 集英社クリエイティブ Amazon 何かの…

息抜きしながら生き抜く

この2ヶ月(特に今月)、色々と大変でございました。 自分が選んだ道が、いつの間にかだんだんと、自分のやりたくたいものになってしまいそうだったけれど、ちょっとした自分の認知の仕方を切り替えるだけで、やっぱり楽しいと思えて、頑張ろうって思えるよう…

【読書記録】本の感想を書いていたと思ったら、なんか「暇ができることへの後ろめたさ」の考察がはじまった(「書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜」)

本の感想 暇ができることへの後ろめたさ 本の感想 ここ最近、公私ともに多忙な日々が続いていて、文章を書くことから遠ざかっていました。どうしても時間がかかるし、億劫になる。 「『書く』やる気を起こさせてくれるような本がないかな」と探していたとこ…

みんながもっと気楽に家庭医療学を学べたらいいのに。

個人的な関心もあって、私は哲学に関する書籍を手に取ることが多いです。 哲学の一般的なイメージといえば、「難解」であったり、「生活に役立たない」など、ネガティブな側面が思い起こされることが多いのではないでしょうか。 その一方、哲学を日常生活や…

【読書記録】「他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学」

「他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学」 他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学 (集英社新書) 作者:磯野 真穂 集英社 Amazon 時間の合間をぬって、一気読みしてしまいました。それくらい面白かったです。 この本は、全体を通して「手ざわり…

【読書記録】格差はなくなるのか?格差はゼロにしたほうがいいのか?(「格差という虚構」)

読書記録。 今回は小坂井敏晶さんの「格差という虚構」です。 格差という虚構 (ちくま新書) 作者:小坂井敏晶 筑摩書房 Amazon タイトルだけみると、「格差なんて本当は存在しないんだよ」と言いたいのではないかと誤解されてしまいそうですがそうではなく、…

【論文掲載のご報告】日本の総合診療医(General Medicine Physician)について、わかりやすくまとめてみました。

わたしが執筆した、日本の総合診療医の様々なカタチについて述べた論文 「Various perspectives of “General Medicine” in Japan—Respect for and cooperation with each other as the same “General Medicine Physicians”」が、 Journal of General and Fam…

記録を取る者は向上する。

近況報告 メモとおすすめノート 記録を取る者は向上する 近況報告 心を亡くすと書いて「忙(しい)」。 この1ヶ月はそんな期間だった。 10月から勤務地もかわり、環境の変化に対応することにエネルギーの大半がもっていかれる。自宅に帰っても、頭を使うような…

コロナ禍における専門医研修への向き合い方について

先日、とあるミーティングでの話題をうけて。 コロナ禍で、自分がどんな心持ちで総合診療専門医研修をおくっているのか、改めて考えさせられました。 2種類の総合診療専攻医がいる コロナ禍でも同じことが言えるの? 総合診療医や家庭医ではなく、ひとりの「…

精神科のない病院で、うつ病を診ることのメリット

巷ではとあるメンタリストさんの差別的発言が話題となっていますが、今回はメンタルヘルスに関係した記事です。 総合診療医として地域の小病院で勤務していると、様々な症状を抱えた患者さんが受診します。はじめから専門的な高次医療機関に行ったほうがよい…

「ゆっくり読む」って意外と難しい・・・

「読む脚力」が衰えている。 とある勉強会で、批判的吟味や論理的思考に関する話題があがり、そこでオススメされていた一冊を購入しました。 野矢茂樹先生の「新版 論理トレーニング」です。 新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ) 作者:野矢 茂樹 産…

誤配のこととか、連載することになったこととか。

ここ数日、書くことに関する書籍をいくつか読んでました。 「ライティングの哲学」では、書くことの苦しさとともに、気軽に書くことの重要性も語られておりました。あと昨日読み終わった「すべてはノートからはじまる」は、書くこと、特に記録をとることの効…

自考するために重要な「無能フィルター」(「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 」)

最近発売されたこちらの本。 4人の執筆者が、「書くこと」の悩みを解像度高く共有している一冊。シンプルにおもしろい。(表紙の絵が、あらゐけいいちさんであるのもまた良い。) この本を読むと、書くことについて少し気が楽になった。 ライティングの哲学 書…

医療の文脈でみた実存主義と構造主義(「14歳からの哲学入門」)

14歳からの哲学入門 14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト 作者:飲茶 二見書房 Amazon 「史上最強の哲学入門」の飲茶さんの著書。 合理主義→実存主義→構造主義→ポスト構造主義、そしてこれからの哲学について、わかり易くまとまってます。 実存…

自分の想像力の限界を突きつけられる (「正欲」)

朝井リョウさんの「正欲」、読了。後ろ頭を丸太で殴られたような衝撃。 正欲 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon なんかこう、今まで自分がどれだけ偏った視点で世界を眺めていたんだろうかと。「多様性」って言葉を、軽々しく使っていた自分が少し恥ずかしくな…

「ただ、いる、だけ」がいかに幸せなことか (「居るのはつらいよ」)

読書記録。 居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく) 作者:東畑 開人 医学書院 Amazon 「居るのはつらいよ」は、臨床心理士である東畑さんが、沖縄のデイケアでの体験をもとに、「ただ、いる、だけ」の大切さを、ケアとセラ…

程よい抽象度で趣味的な夢が一番幸せなんじゃないか

「夢の叶え方を知っていますか?」は、 「すべてがFになる」などの小説で有名な森博嗣さんの著書で、お気に入り本の一つです。 夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書) 作者:森博嗣 発売日: 2017/01/13 メディア: Kindle版 職業的な夢と趣味的な夢 森さん…

「分人」を知っておくことで、ひとに優しくなれる

今回とりあげる書籍は、 平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 発売日: 2012/12/17 メディア: Kindle版 平野啓一郎さんは、『マチネの終わり』になどで有名な小説…

効率的な勉強って?

雑記。 風のように過ぎ去っていった10月。気がつくと11月になっていました。 夏休み(というか冬)をいただいており、浮世離れした生活を送っています。皆さんおげんきですか?私は元気です。 今週は時間的余裕があることもあって、たくさんいろいろな本を読ま…

総合診療について、改めて考えてみた(学生さんからのインタビューを通して)

総合診療について、改めて考えてみた ある学生さん(なんと中学生の方!)から、インタビューの申し込みがありました。 医師を志していらっしゃるとのことで、卒業論文の情報収集のなかで、私の書いた日経メディカルの記事を読んでくださったとのこと。 medi…

役割を演じる私たち

学びのメモ。 先日、著明な先生方の鼎談系配信にふと参加したところ、思わず様々な学びがあった。 医師と患者が演じている「役割」についてである。 「役割」ときいて、そういえばと思い出した文章があった。 25セント硬化のように、あなたは常に役割を演じ…