読書記録。
治療 2021年11月号
「病院にとっての在宅医療 やってみる、繋がってみる」
編集幹事をされている 長野広之先生より、ご恵贈いただきました!
タイトルの通り、在宅医療にどのように病院が関わっているのかについて、様々な視点から解説されている特集です。
目次はこのような感じです。
(南山堂HPより転載:http://www.nanzando.com/journals/chiryo/)
一通り読み終えて、まず感じたこと。
それは、今回の特集は総合診療医に限ったものではなく、臨床医は皆一読しておくべき特集だということです。
在宅医療を実践している医師であろうとなかろうと、在宅医療を提供している診療所や病院であろうとなかろうと、どんな場面でも在宅医療との関わりがあります。
今回の特集は、もちろん具体的な実践内容についても解説されているのですが、繰り返し強調されていたのは、在宅医療と病院との連携の重要性についてでした。統合的ケアでいうところの垂直統合にあたる部分だと思います。
在宅医療と病院での入院・外来診療の間でのケア移行、そして連携。これは、「わたしは病院でしか勤務していないから、在宅医療のことは知らなくても良い」とか、「在宅医だから、病院でのことは全部おまかせ」とか、そんなことを言っていては成り立ちません。
特集内のトピックのひとつとして、在宅医療の視点から病院関係者が知っておくべきことが解説されていたり、逆に病院の視点から在宅医が知っておくべきことが解説されていたりと双方向に記載されていて、それぞれの立場と役割を認識し想像する手助けになります。
特集内の記事にも書かれてあったように、病院での診療と在宅医療の違いに大きく関与しているのは、まさしく”場”の違いであると思います。一般的に、「病気を治す治療」が優先されることの多い病院診療と、「生活を支える医療」が優先されることの多い在宅医療。
高齢化やパンデミックなど社会が大きく変容していくとともに、求められる医療のカタチが様々に変わって来ている中で、今後の日本の医療を支えていく臨床医にとって今回の特集は必読ですね。