真に豊かで生きるに値する社会とは?(「ビジネスの未来」)
読書記録。
今回は山口周さんの「ビジネスの未来」です。
無限の上昇志向・成長志向にとらわれてしまっている現代の資本主義をハックし、アップデートしていくための思考や行動様式、その先の文化的豊かさを目指した社会を実現していくための具体的提言が書かれてある本です。今後自分たちが作り上げていくこととなる社会の、ひとつの目標点を提示してくれています。
マクロな視点で書かれてあるのですが、本書終盤に書かれてあるとおり、わたしたち一人ひとりが自分事として取り組むことの重要性を、認識させられました。
★スライド1枚まとめ★
コンサマトリーな思考・行動様式
経済合理性だけでは解決できない社会問題の解決には、
「未来のためにいまを犠牲にする」という手段手技的=インストゥルメンタルな思考・行動様式から、
「永遠に循環する ”いま” を豊かに瑞々しく生ききる」という自己充足的=コンサマトリーな思考・行動様式への転換が必要である、と書かれてあります。
これまでの経済活動はインストゥルメンタルな思考・行動様式だというわけですが、直感的な「〜したい」という衝動による活動は、なにかを我慢して利益を得るというわけでなく、それ自体が利得であり効用であり、文化的な豊かさにつながったり、ソーシャルイノベーションにつながる、ということです。
VUCAな時代で将来を見通すことが非常に難しくなった現在。何が正解で、何が勝ちがあるのか、これまで以上に短いスパンで変化しています。
新型コロナウイルス感染症のように予想もしない事態が訪れ、未来の利益を夢見て今を我慢し積み上げていったレンガは、ある日突如として崩されてしまう可能性が高いです。
コンサマトリーな思考、つまり「いま、この瞬間に感じられる愉悦・官能という利得によって行為のコストが回収される活動」という考え方は、現代をより良く生きる方法として理にかなっているのかもしれません。
自分事として問題を捉える
本書終盤で気になった部分を最後にメモしておきます。
「どこかにいる誰か」によって問題が起こされている以上、それを修正するのもまた「どこかにいる誰か」だと考える人で世の中は溢れかえっている
(中略)
「いまここにいる私」によって問題の多くが引き起こされている以上、革命もまた「いまここにいる私」から始められなければならない