診療にかけられる時間について。
外来や訪問診療をふくめて、医療は時間制限がつきものである。無限に時間があるわけではない。限られた時間内で診療を行わなければならない。これはどの仕事でも同じ。別に医療に限った話ではない。ただ、緊急性があればより時間を意識した診療が必要だし、トリアージもその一つだろう。
時間は限られているのである。タイムパフォーマンスとか、そういう話ではない。患者が多く受診している現状で、じっくりと時間がかけられる訳ではないということ。周囲の状況をみながら、診療せざるを得ないだろう。
たくさんの患者が待っている状況なのであれば、ひとりひとりにかけられる時間は当然限られてしまう。その限られた時間のなかで、患者中心の医療を実践し、よりよい医療が提供できるかどうかが重要だ。もちろん時間をしっかりかければ、だれだって患者中心の医療をおこなうことはできるだろう。ただ現実はそうではない。
時間は限られている。その時間で患者中心の医療をどう実践できるかが、忙しい臨床現場における家庭医としての腕のみせどころだ。自分の目の前の患者だけでなく、待っているたくさんの患者らを、このあと診察するのである。現状認識をしながら診療をおこなわなければ、どんどん後ろにずれこむ。当たり前の話だが、それができていないことも多い。
経営的な側面としても、時間あたりの診療患者数が少なければ、それだけ利益は減り、継続していくことができない。
患者さんをできる限り待たせたくないという気持ちが強い。
待たせてしまってもしょうがない、では済ませたくない。
こだわりというか、ちょっと強迫的な側面もあるかもしれない。
自分が患者・家族側だったら、何時間も待ちたくない。
余裕をもって診療したいという気持ちは僕もあるけれど、そこはぐっと我慢しつつ、どうしても時間を削りながら、必要十分な診察で終了せざるを得ない。その見極め、マネジメント。もっと意識したらどうだろうか。僕もそういう意味では、まだまだ未熟な部分が多い。
たしかに忙しい現場は、そもそもマンパワーが足りていない可能性が大いにある。それは踏まえつつも、自分が変えられるところがないかどうか、意識次第で変われることがないかどうか、考えてみても良いかもしれない。
タイムマネジメント。時間は有限。