岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

岡山の家庭医のブログです。総合診療や家庭医療、哲学、ビジネス、いろいろ。

2021年を振り返る。

2021年も今日で終わり。1年間のまとめをここらでしておきます。 今年の目標確認 今年やったこと 来年の目標 今年の目標確認 去年末に掲げた2021年の目標と結果はこちら。 ■他人と自分を比較しない → これはだんだんとできるようになってきました。「こうなり…

医学生向け勉強会のお知らせ(「病気になるのは 本当に自己責任? 〜健康格差と健康の社会的決定要因〜」)

医学生向けですが、こんな勉強会があります。 Zoomでも視聴できるみたいです。岡山県外の医学生の方でも参加可能とのこと。 健康格差とか、健康の社会的決定要因とか、生物心理社会モデルとか、総合診療のこととか話します。初期研修のこととか、総合診療研…

【読書記録】治療 2021年11月号「病院にとっての在宅医療 やってみる、繋がってみる」

読書記録。 治療 2021年11月号「病院にとっての在宅医療 やってみる、繋がってみる」 治療 2021年11月号 特集 「病院にとっての在宅医療 ~やってみる,繋がってみる~」 南山堂 Amazon 編集幹事をされている 長野広之先生より、ご恵贈いただきました! タイト…

【論文掲載のご報告】日本の総合診療医(General Medicine Physician)について、わかりやすくまとめてみました。

わたしが執筆した、日本の総合診療医の様々なカタチについて述べた論文 「Various perspectives of “General Medicine” in Japan—Respect for and cooperation with each other as the same “General Medicine Physicians”」が、 Journal of General and Fam…

記録を取る者は向上する。

近況報告 メモとおすすめノート 記録を取る者は向上する 近況報告 心を亡くすと書いて「忙(しい)」。 この1ヶ月はそんな期間だった。 10月から勤務地もかわり、環境の変化に対応することにエネルギーの大半がもっていかれる。自宅に帰っても、頭を使うような…

知れば知るほど、世界は白黒つけられないことばかりなんだと実感する。

ここ最近、「患者中心の医療の方法」第3版の翻訳書を用いた読書会に参加しています。 患者中心の医療の方法 原著第3版 作者:Moira Stewart,Judith Belle Brown,W Wayne Weston,Ian R McWhinney,Carol L McWilliam,Thomas R Freeman 羊土社 Amazon そのうちの…

岡山の家庭医が2021年8月に購入して読んだ本の一覧

2021年8月に購入して読んだ書籍の一覧です。 引っ越し前ということもあり、書籍の整理も兼ねて、購入数は抑えめです。 今月の一番の収穫は、「コンヴィヴィアリティ」という概念に出会えたことですね。 ご参考になれば幸いです。 【一般書】 ●河合隼雄スペシ…

コロナ禍における専門医研修への向き合い方について

先日、とあるミーティングでの話題をうけて。 コロナ禍で、自分がどんな心持ちで総合診療専門医研修をおくっているのか、改めて考えさせられました。 2種類の総合診療専攻医がいる コロナ禍でも同じことが言えるの? 総合診療医や家庭医ではなく、ひとりの「…

総合診療にサブスペシャリティは必須?/ 総合診療は全診療科の知識を網羅しておかないといけない?

ご報告。日経メディカルに寄稿いたしました! 総合診療に関して、学生や研修医の方々からよくきかれる質問に答えております✍ ・総合診療は全診療科の知識を網羅しておかないといけないのか? ・総合診療にサブスペシャリティは必須なのか? 私も学生時代、「…

精神科のない病院で、うつ病を診ることのメリット

巷ではとあるメンタリストさんの差別的発言が話題となっていますが、今回はメンタルヘルスに関係した記事です。 総合診療医として地域の小病院で勤務していると、様々な症状を抱えた患者さんが受診します。はじめから専門的な高次医療機関に行ったほうがよい…

「ゆっくり読む」って意外と難しい・・・

「読む脚力」が衰えている。 とある勉強会で、批判的吟味や論理的思考に関する話題があがり、そこでオススメされていた一冊を購入しました。 野矢茂樹先生の「新版 論理トレーニング」です。 新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ) 作者:野矢 茂樹 産…

岡山の家庭医が2021年6月・7月に購入して読んだ本の一覧

気を抜いていたら、いつのまにか6月と7月が終わってしまいました。 2ヶ月間の間に購入して読んだ本の記録です。 オススメの本もいくつかありますので、よければご参考ください! 【一般書】 ●あそびの生まれる場所—「お客様時代」の公共マネジメント → 読了(…

誤配のこととか、連載することになったこととか。

ここ数日、書くことに関する書籍をいくつか読んでました。 「ライティングの哲学」では、書くことの苦しさとともに、気軽に書くことの重要性も語られておりました。あと昨日読み終わった「すべてはノートからはじまる」は、書くこと、特に記録をとることの効…

自考するために重要な「無能フィルター」(「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 」)

最近発売されたこちらの本。 4人の執筆者が、「書くこと」の悩みを解像度高く共有している一冊。シンプルにおもしろい。(表紙の絵が、あらゐけいいちさんであるのもまた良い。) この本を読むと、書くことについて少し気が楽になった。 ライティングの哲学 書…

「困難事例」における困難とは果たして、誰にとっての困難なのだろうか?(「『困難事例』を解きほぐす」)

2021年6月27日、「『困難事例』を解きほぐす」の読書会に参加しました。 「困難事例」を解きほぐす――多職種・多機関の連携に向けた全方位型アセスメント 作者:伊藤健次,土屋幸己,竹端寛 現代書館 Amazon 著者の御三方が参加され、本の内容をベースにディスカ…

医療の文脈でみた実存主義と構造主義(「14歳からの哲学入門」)

14歳からの哲学入門 14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト 作者:飲茶 二見書房 Amazon 「史上最強の哲学入門」の飲茶さんの著書。 合理主義→実存主義→構造主義→ポスト構造主義、そしてこれからの哲学について、わかり易くまとまってます。 実存…

自分の想像力の限界を突きつけられる (「正欲」)

朝井リョウさんの「正欲」、読了。後ろ頭を丸太で殴られたような衝撃。 正欲 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon なんかこう、今まで自分がどれだけ偏った視点で世界を眺めていたんだろうかと。「多様性」って言葉を、軽々しく使っていた自分が少し恥ずかしくな…

【講演記録】平野啓一郎さんのオンライン講演に参加してきました【分人主義】

【平野啓一郎さんのオンライン講演に参加しました】「第21回日本死の臨床研究会中国・四国支部大会/第26回鳥取緩和ケア研究会 in鳥取」の午後の部、平野啓一郎さんのオンライン講演に参加してきました。 平野さんは「マチネの終わりに」などの小説でご高名…

「ただ、いる、だけ」がいかに幸せなことか (「居るのはつらいよ」)

読書記録。 居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく) 作者:東畑 開人 医学書院 Amazon 「居るのはつらいよ」は、臨床心理士である東畑さんが、沖縄のデイケアでの体験をもとに、「ただ、いる、だけ」の大切さを、ケアとセラ…

家庭医療学 はじめの一歩 〜BPSモデルと患者中心の医療の方法について〜

「家庭医療学ってなに?」 そんな方にむけて、家庭医療学についてスライドにまとめてみました。 家庭医療の実践で基本となる、 生物-心理-社会モデル(Bio-Psycho-Socialモデル:BPSモデル)、 患者中心の医療の方法(Patient Centered Clinical Method:PCCM) …

総合診療専門医の数だけを増やしても無意味 (内科専門医と総合診療専門医のダブルボードの件について) ※2021/05/17追記

内科専門医と総合診療専門医のダブルボードの件について。 ドクターズマガジン5月号の記事によると、専門医機構は、内科専門医が総合診療専門医を取得する要件は、小児科や救急研修の追加履修で可能とする方針にするとのこと。 しかし本来、総合診療には具体…

岡山の家庭医が2021年3月・4月・5月に購入して読んだ本の一覧

いつのまにか2021年も3分の1が過ぎ去っていました。 この間に購入していた書籍の一覧を残しておきます。 ぼくが読了した本で、皆様にもぜひ読んでもらいたいオススメのものは「オススメ」って書いています。ご参考ください。 医学書 ◯厄介で関わりたくない精…

程よい抽象度で趣味的な夢が一番幸せなんじゃないか

「夢の叶え方を知っていますか?」は、 「すべてがFになる」などの小説で有名な森博嗣さんの著書で、お気に入り本の一つです。 夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書) 作者:森博嗣 発売日: 2017/01/13 メディア: Kindle版 職業的な夢と趣味的な夢 森さん…

医学生のための適々斎塾「合水塾」 第2回を企画しました

最近ブログ執筆がご無沙汰しておりましたので、活動報告。 医学生のための適々斎塾 合水塾 第2回 臨床推論 盛況のうちに終了いたしました!たくさんの医学生・初期研修医の先生方に参加していただき、嬉しい限りです 医学生に、臨床に即した質の高い学びを届…

「分人」を知っておくことで、ひとに優しくなれる

今回とりあげる書籍は、 平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 発売日: 2012/12/17 メディア: Kindle版 平野啓一郎さんは、『マチネの終わり』になどで有名な小説…

岡山の家庭医が2021年2月に購入して読んだ本の一覧

2021年2月中に購入した本の一覧です。 今月もまぁまぁな数の本を買っていました。 積読はどんどんと増えていく一方ですが、これはこれで良いのです。「積読こそ完全な読書術」なのです。 yktyy.hatenablog.com そして先日、ようやく國分功一郎先生の「中動態…

私が数百人規模の企画運営に携わったことで得たもの(冬セミスタッフとしての振り返り)

ついに今年度の「若手医師のための家庭医療学冬期セミナー(通称”冬セミ”)」が終了した。私は昨年度に引き続き、全体講演の冬期セミナースタッフ(冬セミスタッフ)として参加した。 https://confit.atlas.jp/guide/event/jpcawinter16/top 無事に終了したこと…

岡山の家庭医が2021年1月に購入して読んだ本の一覧

2021年より、1ヶ月のうちに購入した本の一覧を記録することといたしました。 「あの本、いつ買ったんだったっけ」と思い出せたり、「今月はちょっと本を買いすぎてないか」など、後から振り返ることもできそうで。積読もいくつかありますが、併読しながら少…

ジェネラリストであれ。(読書記録:「RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる」)

読書記録。 本屋の一角に平積みされており、 「人生で成功するのは「スペシャリスト」よりも「ゼネラリスト」だ!」 という帯をみて思わず購入。 さっと通読できたので忘れないうちにアウトプットしておく。 RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる…

コロナ禍での顔面神経麻痺

救急外来で経験した症例。 【症例】 30代男性。 1日前からの発熱と、ペットボトルで飲み物を飲むと左の口からこぼれるとのことで受診。鼻汁、咳嗽あり。 5日前に多人数での会食あり。 鑑別は・・・? 【診断】COVID-19による末梢性顔面神経麻痺 ・翌日のPCR…