岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

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2023/08/23 地元の総合診療

2023/08/23


今日は一日お休みをいただいて、家族のことで病院を受診。
朝一番で自宅を出て、2時間かけて地元の香川県にいった。

 

ぶっ通しの運転はやっぱり疲れる。ただ、瀬戸大橋はいつ通っても気持ちがいい。

 

大雨。どしゃぶり。

地元についても曇天。雨は降り続ける。


現在の病状をききに病院に。1時間遅れで診察室によばれる。長い待ち時間はストレスだ。医師としての自分も患者を待たせてしまう立場なので、長い待ち時間はやはり申し訳ないと思ってしまう。

 

いわゆる多疾患併存状態であるわけだが、多科にわたる受診で、「主治医」と呼べる担当医がいないわけだ。いろいろな疾患をもっているなか、今回新たにプロブレムが出た状況で、そのことを相談できる主治医がいない。また〇〇科に新たに紹介される必要がでてしまう。


患者の家族として、やっぱり総合的に診てくれる主治医、かかりつけ医の存在は大切だなと思う。そして、それを担えるのは総合診療医だなと思う。地元の香川県で、もっと総合診療が盛り上がっていったらいいのになと、せつに思う。

 

そんななか、今日はさらにもう一件、香川で用事があった。香川大学病院での臨床推論勉強会に参加。
香川の総合診療を盛り上げようと頑張ってくれている学生の方(Uさん)が主催で、毎月やっているとのこと。せっかく香川に来たので、出ない訳にはいかない。同学年で、県外から香川に帰ってきたというジェネラリストの先生がプレゼンしてくれて、実りあるディスカッションができた。学生さんもちらほら参加。教育に携わっていくのは、今後必須だろうなぁ。

 

今日も東畑開人さんの新著『ふつうの相談』を手に取る。

ふつうの相談

 

相変わらずキレキレである。

 

教科書ではしばしば、ラポールを形成してから心理的作業に入っていくと書かれているが、まだ何の役にも立っていない専門家をどうやって信頼できるというのか。
さまざまな災厄に襲われ、孤立感を深めるクライエントが、もし他者を信じることができたならば、それはすでに偉大な達成なのである。


ラポールは、適切な環境調整と問題の知的整理が行われ、「助かった」と少しは感じられたときにはじめて形成されるものだ。(中略)


ラポールを築こうと思うならば、感情よりも知性を使う方がいい。この社会にあって、専門家に期待されるのはまず専門知であるのだから。


(東畑開人『ふつうの相談』p65より)

 

 

帰る頃には、雨は止んでいた。