久しぶりに医学的な内容の記事です。
先日、「環状紅斑」のフレコミで精査となった方を前の担当医から引き継いで担当することとなりました。
環状紅斑の鑑別か〜と思って写真をネットなどで眺めていたのですが、入院時の紅斑の写真をみていてふと、「これって本当に ”環状紅斑” として鑑別をすすめていくのでよいのだろうか?」と疑問に思いました。
そこで色々調べてみると、するとどうも多形滲出性紅斑も似たような環状の紅斑がみられるみたいです。
皮疹はこんな↓ 感じです。
■多形滲出性紅斑
(左図:虹彩状、右図:標的状)
■環状紅斑 → Google画像検索
・・・え、虹彩状の多形滲出性紅斑と環状紅斑、似ているじゃないか。
教科書を読んで、多形滲出性紅斑と環状紅斑を比較してみました。
(参考文献:清水宏.新しい皮膚科学 第2版. 2011.)
・・・やっぱり、見た目だけでは判断できないみたいです。
炎症が起こっている深さが微妙に違うみたいで、多形滲出性紅斑は表皮〜真皮接合部近く、環状紅斑は真皮全層でやや深い。皮膚生検してみないとこれはわからないですね。
そして多形滲出性紅斑は四肢伸側の関節部にできやすく、左右対称にみられる。
環状紅斑と多形滲出性紅斑では鑑別疾患が異なってきますし、多形滲出性紅斑を考慮するとなると、ぐっと鑑別の幅が広がります。多形滲出性紅斑では、HSVといったウイルス感染、マイコプラズマや溶連菌といった細菌感染、そしてなにより薬剤が鑑別に上がります。
【まとめ】
「環状の紅斑」をみたら環状紅斑だけ考えるのではなく、多形滲出性紅斑の可能性も考慮し、乾癬や白癬の除外も必要。