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具体的なキャリア実践戦略とは? 〜 ベクトルキャリアモデル 〜

読書記録 
 

キャリア関連の書籍を集中的に読んでみて、だいぶイメージが掴めてきました。
 
 今回は「医療・介護職の新しいキャリア・デザイン戦略」の終盤にまとめられている、キャリア実践戦略である「ベクトルキャリアモデル」について、内容を一部加筆してまとめてみました。  

 

 

 

ベクトルキャリアモデル

自分が思い描くキャリアをどのように歩むべきか、具体的なキャリア実践戦略として、6つのSTEPからなる「ベクトルキャリアモデル」が提唱されている。

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ベクトルキャリアモデル (p171より)
 
●STEP1:キャリア人として、あるいは社会人としての自らの目標や夢を見出すことが望ましい(必ずしも崇高な夢でなくても良い。そのときは自らの理想の状態をイメージする)。そのために何が必要で、何が足りなくて、何に取り組めばいいか、といった仮説と検証というサイクルを回す。この「仮説」をたてるために、自分の「テーマ」を持つことが重要。
※仮説・検証のサイクルは、ビジョン設定型の課題解決(ゴールの見極め → 現状とギャップの診断 → 到達への道筋の見極め → 打ち手の整理・実行)に近いかも(安宅和人「シン・ニホン」p392)。
 
●STEP2:自らの能力、価値観、適正を自分なりに把握し、自らの「強み」を理解することがすべての礎になる。
自己理解
・キャリアの基礎:動機、能力、価値観の3つに向き合うこと
価値観とは、大切にしていること、譲れないこと、やりたいこと。「自己実現の欲求」にも近い。
★重要なのは「違和感」を大切にすることや「喜怒哀楽を素直に受け止める」感受性
★価値観をみなおす方法 :「自分がこれまでに大切にしてきた考え」「両親や家族からよく言われたこと」「自分の信念」といった、自分を形成している考え方や概念を書き出してみる
 
「自分にとって仕事とはなにか?」
「自分にとって成長とはなにか?」
「自分は世の中に何の価値を提供する職業人か?」
「自分にとって生きるとはなにか?」
「自分は何を大切にして生きているのか?」
「自分の理想的な働き方は?」
「自分の能力や実力はどの程度のものか?」
 
●STEP3:仕事・マーケットの理解
 
仕事理解
・マーケットを理解する
医療・介護職が選択するマーケットは大きく3つ:「医療保険」「介護保険」「保険外」
・個人のマーケット選択 → プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)を活用してみる
①成長率が高いマーケット
②自分の(能力・価値観に即した)市場シェアが高い
→ ①・②の両方を実現できることがベスト

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(図:https://makefri.jp/strategy/6126/ より転載)
 
(1)問題児:自身の持っているスキルのなかで、これからどのスキルが「市場成長率を高くキープし、市場占有率を高められるか」を見極める。どれを「花形」に持っていくかを考え、そこに集中投資していく。
(2)花形:自分の「市場」のなかで、「〜ならあなただね」と言われるくらいまで徹底的に広告宣伝・サービス提供をおこなっていく、いわゆる「ブランディング」を行う。
(3)金のなる木:すでに市場のなかである程度の地位を築き、本業もしくは複業として収入の一部となっている状態。その資産を使って、「問題児」の中にあるスキル、もしくは新たなスキルを「花形」に持っていく。
(4)負け犬:これ自体は多くの収入をうまず、維持くらいなら可能だが、継続するか撤退するかを決める。
 
市場価値について
・士業がコモディティ化してきている
・既存のロールモデルに従い、診療・介護報酬内で患者を多く集め、技術を追い求めるだけで善とする(エキスパートの性質)キャリア構築をできる時代ではもうない
・「資格の市場価値」ではなく「個人の市場価値」を上げる必要がある
・臨床以外を経験することは一概に市場価値が高いとは言えない
臨床の次に管理、臨床の次に研究、と段階的に考えることは割と自然なこと
・市場価値が高いカテゴリー、低いカテゴリー
低いカテゴリー:トレーダー、エキスパート
高いカテゴリー:マーケター、イノベーター、リーダー、インベスター
 
3つのセクターでの働き方
★1つのSectorに偏らず、バランス良く活動する ( 下記3Sectorの「循環 ✕ 橋渡し ✕ 統合化」が重要)
・Public Sector(公的な領域):国、行政、協会と行っている仕事
・Semi-public Sector(半公的な領域):所属先の病院、施設、企業で仕事
・Private Sector(私的な領域):執筆、研究、講師、コンサルティングなど個人での仕事 
 
●STEP4:「Who(誰に対して)」「What(何を)」「How(どうやって)」の視点で、価値提供の問いを明確化する。この問いをたてることで、自分の行動規範(ルール)が形作られ、戦略の実働を支える上での重要な部分となる。
 
●STEP5:行動規範ができた上で、医療系介護系資格にどういった「軸」を掛け合わせるかを考える(※単なる資格の掛け合わせでは市場価値は高まらないので注意)。この掛け合わせにより、自らの担うキャリア戦略が定義され、戦術が明確になる。
 
掛け合わせキャリア
・地域軸:都道府県、市区町村、海外など
・対象軸:高齢者、小児、障害者など
・役割軸;教育する立場か、プレイヤーか
・時間軸:予防、終末期など
・フェーズ軸:医療、介護、地域など
・手段軸
・ニーズ軸:利用者が何をもとめているのか
 
●STEP6:具体的にPDCAサイクルを回し、トライアンドエラーを繰り返す。必要であればスキルを身に着けたり、企画立案・実行を何度も繰り返し、やり続ける。
 

 

というわけで、「ベクトルキャリアモデル」についてまとめてみました。

ここ最近キャリアパスに関連する書籍を読んでいく中で、自分の価値観を見直す良い機会となったのでよかったです。

専門職としての自立を目指してテクニカルスキルを醸成しつつ、ファイナンス型思考をもっておきたいと思います。

 

 

【参考にさせていただいた本】