岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

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鑑別疾患:血便

当直振り返り。
 
虚血性腸炎、結構腹痛が強くでるんですね・・・。
急性腹症のプレゼンテーションで来院されました。
 
中年女性で「便が出ない」という言葉から当初、腸閉塞らしさを感じていましたが、よくよく聞いてみると
「下痢っぽい排便のあとに少量の血便 、その後腹痛が続くけれど排便がない」、
という流れでした。ぐぬぬ・・・。
 
 
 
ということで、血便の鑑別を復習。
 

 

 

血便の鑑別

いろいろな覚え方があります。

ぼくはこの「血便エイト」が印象的です。

ゴロではないのですが、「8こは必ずあるんだ!」と思って頭からひねり出します。

忘れていたら無理せずEvernoteのメモをカンニング

 

 

■「血便エイト」

①憩室出血

②非特異的な腸炎

③虚血性腸炎

④大腸癌

⑤痔核

⑥大腸ポリペク後

⑦直腸潰瘍

⑧炎症性腸疾患

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※参考:Facebook 公開group「その日の疑問、その日のうちに。」

 
 
「DRAIN」
Diverticular hemorrhage: 憩室出血
Rectal ulcer/Radiation enteritis :直腸潰瘍/放射線腸炎院内で多いのは直腸潰瘍Angiodysplasia :血管異形成
Ischemia/Inflammation/Infection :虚血/炎症/感染(痛みがあるのは I だけNeoplasm: 腫瘍

 

 

 

 

やることリスト
【初期対応】
・ABCの安定化
・ルート確保+補液

 

【病歴】
・失神、前失神の有無を確認 → あったら大量出血による一過性低血圧あり
・既往の確認:消化性潰瘍、消化管出血、消化管悪性腫瘍、肝硬変、心血管疾患(抗血栓薬)
・出血傾向の有無
・鉄剤を使用していないか?(便が黒くなる)
・β遮断薬、Ca拮抗薬など、脈拍や血圧に影響する薬剤はつかっていないか?
・抗血栓薬を使用していないか?

 

【身体所見】
・頻脈あり → 10%以上の出血+
・起立負荷試験行う
・直腸診(必須)
・腹部:腫瘤、腸蠕動、圧痛の有無確認

 

【検査】
・血算、凝固
・単純CT、造影CT

内視鏡

 

※このやることリストの参考文献、失念してしまいました・・・。

 

 

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(写真:道後で食べた鯛めし)