2021年6月27日、「『困難事例』を解きほぐす」の読書会に参加しました。
著者の御三方が参加され、本の内容をベースにディスカッションするという超贅沢な読書会・・・。
「全方位型アセスメント」のフレームワークをどのように臨床現場に落とし込めばよいか、その他にも現場でのリアルな悩みもふくめて、ご意見をいただくことができました。
まず、「苦しみ」と「苦しい」はイコールではないというのが、新たな学びのひとつでした。
「苦しみ」を「苦しい」と適切に表現できるひとは、それだけでも現状を打破していける可能性が高い。しかし、「苦しみ」を「苦しい」と表現する方法がわからない人や、苦しい状況が「苦しい」ということなのだと自覚できていない、言語化できないひとたちがいる。
その「苦しみ」を「苦しい」と表現することを援助するのが、困難事例の支援の第一歩なのだと気が付かされました。
(追記:著者のひとりである竹端寛さんのブログで、こちらの内容について深く解説されております!)
そして、「困難事例」における困難とは果たして、誰にとっての困難なのだろうか、という視点。これもまた、ぐさっと突き刺さる学びです。
「困難事例です!」と支援者が言っている時、実はその対象者は困っていないことも往々にしてよくあります。支援者からみた対象者の客観的な問題を、そのまま支援の対象となる問題と考えてしまい、すぐに支援にとりかかろうとすると、本人の意思や考えを無視した、独善的な支援となってしまう。
そうならないよう、この本で提唱されている全方位型アセスメントの4セグメントに分けたフレームワークでの検討が、真価を発揮します。
「全方位型アセスメントってなんじゃい?」という方は、詳しくは本を実際に手にとって読んでみていただければと思います。家庭医や総合診療医、ケアマネージャーやソーシャルワーカーに限らず、対人支援に関わるすべての人におすすめの書籍です。
※COIは特にありません。ただ純粋におすすめです。