岡山の家庭医の読書・勉強ブログ

岡山の家庭医のブログです。家庭医療、哲学、ビジネス、いろいろ。

総合診療専門医の数だけを増やしても無意味 (内科専門医と総合診療専門医のダブルボードの件について) ※2021/05/17追記

内科専門医と総合診療専門医のダブルボードの件について。


ドクターズマガジン5月号の記事によると、専門医機構は、内科専門医が総合診療専門医を取得する要件は、小児科や救急研修の追加履修で可能とする方針にするとのこと。


しかし本来、総合診療には具体的な7つの資質・能力

(1.包括的統合アプローチ、2.一般的な健康問題に対する診療能力、3.患者中心の医療・ケア、4.連携重視のマネジメント、5.地域包括ケアを含む地域志向アプローチ、6.公益に資する職業規範、7.多様な診療の場に対応する能力)

を持つべきとされ、これはそもそも専門医機構から出されているものです。


しかし、このうちの総合診療の医学的包括性しか見えておらず、「総合診療=内科+救急+小児科」と勘違いし、総合診療専門医の数だけ増やそうとしているから、こんな間違った方向になる。

 


もちろん上記の7つの資質・能力は、総合診療医だけが持っている専門性ではなく、なんなら全ての医師が持つべきものです。そして、内科専門医研修でも、身につけることはできると思います。

 


ただ、上記の7つの資質・能力を意識しながら行う研修(総合診療専門研修)か、各専門科をローテーションしながら一通りの内科疾患を経験することを目的とする研修(内科専門研修)か、やはりその違いは意識するべきです。


名ばかりの総合診療専門医を増やしても、総合診療ができるとは限りません。
逆に言えば、総合診療専門医など持っていなくても、総合診療を実践されている先生は、何人もいらっしゃいます。言語化されていないその実践を、総合診療や家庭医療の文脈で言語化して学んで貰うだけでも、その先生はある意味、総合診療専門医だと思います。


総合診療専門医を排他的な専門医資格にしたい訳では決してないのですが、質を伴わないお手軽に取れる専門医資格(今でも十分そうかもしれませんが)に成り下がるのだけは御免です。


内科専門医研修と総合診療専門医研修のギャップをもう一度考察し、そのギャップを埋めるような追加履修が必要だと思います。これはもちろん、総合診療専門医をとった先生が内科専門医を追加取得したいときの場合も同様です。

 

 


本質を伴わない専門医資格・専門医研修は、無意味です。

 

 

 

※追記(2021/05/17)

専門医機構に問い合わせたところ、小児科・救急研修に加えて、総合診療研修も行う方針で議論を進めているとのことでした。続報を待ちます。