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セミナーメモ:「コロナ時代につながりを。社会的処方に学ぶ、これからの支援の在り方とは?:PRESENT23」

PRESENT_23 西智弘
「コロナ時代につながりを。社会的処方に学ぶ、これからの支援の在り方とは?」

 

heisei-kaigo-leaders.com

 今日はこちらのオンラインセミナーに参加させてもらいました!

有料セミナーということもあり、すべての内容のメモを記載するのは控えて

個人的に特に気になったポイントを掻い摘んでまとめておきます。

 

 

 

KIAGO LEADERS主催のイベントで、社会的処方研究所で有名な西智弘先生がゲストの「社会的処方」をテーマとしたセミナー。

 

  

KAIGO LEADERSは「2025年、介護のリーダーは 日本のリーダーになる。」というVisionのもと、同じ志をもつ仲間とのつながりをつくるコミュニティです。

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今回の講師の先生について。

西 智弘 先生
川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター 腫瘍内科/ 緩和ケア内科 医長。
一般社団法人プラスケア代表理事
2005年北海道大学卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医療を 中心に初期研修後、2007年から川崎市立井田病院で総 合内科/緩和ケアを研修。その後2009年から栃木県立 がんセンターにて腫瘍内科を研修。2012年から現職。 現在は抗がん剤治療を中心に、緩和ケアチームや在宅診療 にも関わる。また一方で、一般社団法人プラスケアを20 17年に立ち上げ代表理事に就任。「暮らしの保健室」「 社会的処方研究所」の運営を中心に、地域での活動に取り組む。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。
著書に、『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(学芸出版 2020年)がある。

 

こちら今年2月に出版された本。もちろん読み込ませていただきました。

 

 

 

 

今回、社会的処方という興味のストライクゾーンど真ん中のテーマだったので、非常に能動的にセミナーに参加することができました。コロナ時代下で果たせる社会的処方の役割や作り方について、洞察が深まりました。 

 
 
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西先生 ご講演内容メモ
■社会的孤立
・社会的孤立
ひととのつながりが希薄な状態。
社会的孤立 → 死亡率・認知症・転倒・自殺率上昇
・物理的孤立は、地理的に距離があって孤立している状態(過疎地域など)
・精神的孤立
集団としては孤立していないけれど、その人が主観的に孤立しているような状態(学校の中でいじめにあっているような子どもなど)
 
 
■孤立への処方箋「社会的処方」
社会的処方の基本理念
人間中心性:その人におしつけるわけではなく、その人の価値観を尊重
エンパワメント:自発的に参加できるようなアプローチをする
共創:資源がなければ、まちのなかで一緒につくっていく
 
 
 
■社会的孤立と健康格差の問題が急速に訪れる 
・COVID-19は時間を圧縮した。10年くらいかけて顕在化してくるとおもっていた来たるべき時代がいちはやく訪れることとなった。
 
 
■医学的効果と心理的効果 
・アクリル板の設置自体は医学的にどこまで効果があるのか疑問だが、なければそれはそれで心理的不安が幾分あり、それも加味した上でアクリル板を設置した上でのつながりの作り方を考えていきたい
選択できるファジーな感じを間に残しておくとよい
 
 
 
■コミュニティを作るのではなく場を整える 
イベント(非日常)ではなくても生活(日常)は残る
facebook的社会ばかりではなくtwitter的社会も大事にする:中距離のコミュニケーション
・コミュニティをつくる、のではなく「安全・安心な場を作る」→人が集まってコミュニティになる、の順番(ただそこにいることができる、居場所をつくるイメージ?)
 
 
■アナログとデジタルの交点を探す
・アナログで人と人とが出会う場が貴重になる → デジタルのつながりへの入り口をどうつくっていくか。
・糖尿病教育入院みたいに、「IT教育入院」も有りかも(!?)
・病院がデジタルの入り口になるかもしれない
 
 
 
 
 
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セミナー途中、グループワークも行いました。
グループワーク
■これからのコロナ時代で社会的処方をしてくには?
・世代によって、オンラインメインのつながりへの感じ方が違うよね
・オンラインが逆にいろいろな人とのつながりを広げてくれたかも
・医療・介護領域でも、世代間のギャップが有る
・ITリテラシーを高めていくアプローチ
・実は高齢者でもつながりやすくなるかも
・デジタルデバイス、オンライン環境の拡充を公共インフラとしてすすめていくのはどうか 
 
 
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そして最後に参加者からの質問。実はここのセッションが一番勉強になったかもしれない。
参加者からの質問
■社会的処方はなにからはじめたらいい?
・まちにでていく、入っていくところからはじめよう
住民の一人の〇〇です、という感じでまちのコミュニティに入っていく。専門職としてのつながりではなく、まちのひとと知り合い、友達になる。
・暮らしの保健室は、まちのなかでアンケートをとって得た意見をもとにつくった。
・スタートは小さなもので良い。
 
 
地域資源をどういうふうに情報収集したら良い?
・まちにはいる入り口さえみつければ、実はまちの中心・ハブとなっている人をみつけることができる
・まちのなかの人間関係を観察していく
10人とつながる → それぞれから3人ずつ教えてもらう
 
 
■つくったコミュニティをどのように認知してもらって、継続していけばよいか?
・人が来ないと駄目なイベントは、つづけるのがしんどくなる
「行く」系だけでなく、「ある」系のものをつくる。そこにあるというだけでも良い。細く、長く続けるものをつくる。
 
 
■つながりに積極的でない人にどうアプローチしたらいいのか?(孤独を愛しているひとはどうしたらいいか?)
・孤独と孤立は違う。そのひとが1人でいること自体で困っていないのであれば、それはそれでいい
・そういうひとも、通院先など実はどこかでだれかとつながっている(今そのひとを診察・ケアしているあなたがその一人かも)
・なにか問題がおこったときのセーフティネットを、医療者側で作っておく。いざとなったら手を差し伸べられる準備を。
 
 
 
最後に、西先生から一言
■コロナ時代での社会的処方で、医療者が果たせる役割
・医療者だからこそ、正しくおそれておく
住民のもつおそれを、正しく承認してあげる立場になる
 
 
 
 
 
 
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最近、社会的処方にインセンティブがつく流れが出てきているので、ますます注目されていくことでしょう。コロナ時代に社会的処方がどう役割をもっていけるのか、どう実現していくのか、考えていきたいです。
 

西智弘先生と、豊岡でYATAI CAFEをされていらっしゃる守本陽一先生の著書が近々出版されるということで、さっそくポチりました。 

ケアとまちづくり、ときどきアート

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