雑記。
研修の振り返りです。手技関連のお話。
私は手技が苦手です。特に穿刺手技。
大腿動脈穿刺はなれていますが、中心静脈穿刺、橈骨動脈穿刺、腰椎穿刺などなど、いずれも未だに苦手意識が残っています。
現在血液内科を研修中ですが、実はなかなかに穿刺手技が多いのです。
これはちょっと予想外でした・・・。
骨髄を調べるために骨髄穿刺・生検はもちろんのことですが、
長期的な化学療法を行うために中心静脈カテーテル挿入をしたり、
髄注を行うために腰椎穿刺を行ったり・・・。
骨髄穿刺は的が大きいので、ゆっくりと時間を取りながらひとつひとつ確認しながら手技を行うことができますが、
中心静脈穿刺、腰椎穿刺は緊急性を要する場面も多いです。
特に血液内科では、血小板減少をきたしている患者さんも多く、まさに「一発勝負」。
プレッシャー半端ないです。エコーガイド下穿刺でありながらも、虚脱しがちな右内頚静脈を一発で仕留めるという重圧に、先日は若干きもちがこたえました。
「不器用だから手技は苦手」は本当か?
思い出せば初期研修医のころから、穿刺手技をはじめとした手技全般が苦手でした。
それを特に実感させられたのは麻酔科研修のとき。
気管挿管のコツがなかなかつかめなかったのです。
正直、このころから手技全般に苦手意識がついてしまっています。
熱心に指導医の先生が教えてくださったのですが、どうも言われたとおりにできず。
同期の研修医は何回かやるとコツを掴んでうまくできるようになっていくなか、私はひとよりも数倍回数が必要でした。
「どうして同期はうまくできているのに、ぼくはなかなかできないのだろう・・・」と、羨む気持ちもありました。
ある時から、「ぼくは手先が不器用だからな」と自分に言い聞かせて、若干の諦め感ももつようになってしまいました。
しかし、このままだと悔しかったんですよね。
どうすればうまく入るのだろうと、手技のポイントが書かれた本を読んだり、自分なりに反省ノートを書いたり。
「こうやってぐいーっとするんだよ」と感覚的にアドバイスされたことを、できる限り言葉でメモするようにしました。
試行錯誤していった結果、自分の弱点というか癖みたいなものがわかるようになってきました。
どうも私は感覚で手技を行うのは向いておらず、ひとつひとつの手順をすべて言語化する必要があるんだと。ちょっとした角度やタイミングも、できるだけ言葉にして覚える。
「そんなことまで?」ということも言葉にしてみる。そうやってひとつひとつの壁を壊していきました。
そうして何十回もやっていった結果、やっとのことで自分でマックグラスで気管挿管を行うことができるようになりました。若干意地のようなところもあったと思います。
・・・あれから数年。
この数日間ですでに多くの穿刺手技を行わせてもらっています。しかし未だに苦手意識は続いています。初期研修医のころと違う点でいうと、ある程度できる前提で手技を任されること、です。
このちょっとしたプレッシャーが、今はいいスパイスになっています。
あのとき、「ぼくは不器用だから」と諦めたままだったら、手技に対する姿勢は変わっていなかったかもしれません。
精神論は好きでは有りませんが、感覚的に手技をしたり、精神論にしたくないからこそ、すべてを言葉にしていく有用性があります。
手技が苦手なら苦手なりの戦い方をしていきます。